メキシコに行ってきた
イーロンマスクを見る為に、はるばるメキシコまで行ってきた。というのは半分嘘で国際学会に参加するためにメキシコまで行ってきた。流石に修士で国際学会に1回も参加しないのは問題があると思ったので、意を決して行った。去年も国際学会には参加しようと思えば参加できたが、開催地がイスラエルだったことにビビって誰も行かなかったので私も行かなかった。
無事に帰ってこれるのかという不安
メキシコと聞いて何を思い浮かべるだろう。私はマフィアと麻薬と銃撃戦と殺戮の嵐というイメージしかなかった。そんなメキシコに行く事になってしまったのだ。ただでさえ海外に行くのにブルーになるのに。今回ばかりは日本で食べたいと思うものをしこたま食べていくという有様だったあたり、私がどれだけ追いつめられていたのかよくわかると思う。
アエロメヒコを乗ってメキシコへ
自分が死んでも家のローンが払えるように一億円の死亡保険をかけてメキシコに旅立った。使用したエアラインはアエロメヒコである。何故かと言ったら成田からメキシコシティまで一番早く到着するからである。昔は飛行機が好きだったが、今は狭くてうるさい機内にうんざりしている。去年の年末ジャンボで富豪になってビジネスクラスに乗る予定だったのだが、10口買って300円の黒字にしかならなかったので、ビジネスクラスは無理だった。
プレミアムエコノミーにアップグレード
仕方ないのでデルタスカイマイルアメックスゴールドを手に入れ、スカイチームの上級会員を取得し、座席を無料アップグレードした。プレミアムエコノミーになり、足を思いっきりのばせるので、これで多少は機内は快適になった。元々さほど期待していなかったので文句もあまり無いのだが、それでも多少はある。せめて飲み物を渡すときにはメニューを渡して欲しいのだ。メニューも何も無しでいきなり「何飲む?」じゃ困る。毎回何があるのか訪ねるのが面倒だった。デルタのようにメニューを渡して欲しい。文句と言えばこのくらいだ。あと機内食だが、パスタと言われて焼うどんが出てきた。あまりの衝撃で思わず写真を撮ってしまった。
グアダラハラまで
成田から13時間程でメキシコシティーに着き、さらに2時間弱かけて学会の開催地であるグアダラハラまで移動した。ほぼ丸一日かけての大移動だ。グアダラハラ国際空港からは電車など出ておらず、タクシーとバスが出ているらしいが、如何せんこんな修羅の国でタクシーや、ましてや治安の悪いバスを使う勇気はなかったので、送迎サービス(Amigo tour)を往復3000円程度でエクスペディアで予約した。ラテン系の人間のことだから指定した時間に30分遅れてくるだろうと思っていたが、ほぼほぼ時間通りに迎えが来た。
グアダラハラに到着
そして、グアダラハラに到着した。グアダラハラ国際空港はHPにも空港内地図は無いが、迷うことは確実にない程単純なので、地図が見当たらなくても問題は無いと思う。函館や小松や鹿児島のような地方都市の空港の館内と作りはほぼほぼ同じ感じ。飛行機から降りて手荷物を受け取りから出てくると、下の写真の場所にたどり着く。写真の右側に写ってるのがタクシーカウンターになる。タクシーに乗りたければそこでタクシーチケットを購入すればいい。半端無く不安ならUBERを使えばいいと思う。また、すぐ近くに両替所があるので、ペソを持っていなければそこで両替できる。
空港から市内までは40分程度で着く。なかなか街中は小綺麗だなと思っていたが、大気汚染がとにかく酷い。インドネシアのジャカルタを思い出した。排ガスとガソリンの臭いが立ちこめている。10分も歩いていないのに喉や目が痛くなる。おかげで帰国して数日経つ今でも違和感がある。ジャカルタよりましなの酷く臭わないことだ。ジャカルタは大気汚染が酷い上に下水道のように臭いがキツかった。
ホテルは学会の会場から徒歩5分もないグアダラハラプラザエキスポにした。エクスペディアでは送迎バス有りとあるが、そんなものはないので注意。ホテルに送迎バスの件でメールを2回送っても返事はなかった。普通の部屋とクイーンの違いは、アメニティがあるか無いか程度で部屋は全く同じ。会場はエキスポグアダラハラという場所で、中にはスタバとトルティーヤの店があるので食事の場所には困らないし、周辺にもコンビニとレストランがある。
いざ、学会へ
学会初日は開会式とウェルカムレセプションが開かれた。本来ならばメキシコ大統領が演説する予定だったが、急遽キャンセルになってしまった。国内の学会の開会式でも総理大臣なんて絶対に来ないのに、国際学会はやはり規模が違う。また、普通、学会の懇親会と言えば、料理が出て、みんなでわいわい話して盛り上がるものだと思っていたが、この学会は違った。
プロレスのリングがあるのだ。メキシコと言えばルチャリブレ(プロレス)が有名だが、ここで見られるとは思わなかった。プロレスについてはテレビで関根勤が「覆面着けた方が悪役で、そいつらを覆面着けてない方が倒すの、でもそうとはならない時もある」と言っていたのを覚えていただけで、他に何も知らなかったが、その知識だけで何となく試合は理解できた。
おそらくここが世界で一番治安が良いルチャリブレ会場だろう。見渡す限りPh.D持ちの観客で溢れている。中々試合が始まらないことに痺れを切らした観客がウェーブを始めたり、「エーソ!!(メキシコ人の友人に聞いたら「カモン!」みたいな意味と言われた)」と大声で叫んでルチャリブレを楽しんだ。日本のPh.d持ちはこんなにアグレッシブな人は殆どいないので、中々新鮮である。日本人ももうちょっと陽気になればいいのに。
また、会場中央ではダンスも披露され、「メキシコらしいもの」を十分に堪能できた。おもてなしの精神に溢れている。あと、ちらほらメキシコ人と話したが、結構シャイな方が多く、自分としては「へ〜い!アミーゴ!!」的な人たちばかりだと思っていたので意外だった。
そして、2日目に待ちに待ったイーロンマスクの講演である。もう一生ないであろう生イーロンである。二日酔いと時差ぼけのダブルパンチをくらいつつ、心の奥底から「朝食におかゆと梅干しと漬物をくれ」と思いながらも、そんなものが当然あるわけがないことに絶望しながら、グロッキーな体を引きずって会場に向かった。
講演の内容は詳しい記事が沢山出ているし、ニュースにも出ていたのでここでは省略する。ただ、あのスライドは生見るとめちゃくちゃ文字が小さくて見にくくてたまらないということだけは言っておきたい、とにかくこの人の多さである。会場はこの会議の中でもっとも広いホールで行われた。また、発表のあとに質疑応答の時間をたっぷりととってくれる。ロシア人の女の子が「私もスペースXに入りたい」とイーロンに質問していた。
翌日が自分の発表だったので、他の会議に少し参加してホテルに戻って練習した。最近の学会は紙のポスターの代わりにディスプレイを使用するらしい。勝手が中々わからなかったが、運ぶのが大変面倒くさいポスターを持たなくて済んだので便利だった。
帰国時も色々あるあたりさすがメキシコ
自分が発表した次の日が帰国日で、その日の15時に迎えのタクシーを頼んだのだが、15分待っても迎えがこなかった。さすがに困り、ホテルのスタッフに来ない旨を伝えてアミーゴツアーのメールを見せたら電話をしてくれた。フライトが19時で「お前呼ぶの早すぎだから16時に迎えに行くわ」と連絡も無しに勝手に予定を変更されたあたり流石メキシコである。
そして、行きと同じようにグアダラハラ国際空港からメキシコシティに移動し、たらふくテキーラを飲んで3時間ほど空港で待機したのち、祖国に帰ってきた。流石に15時間のフライトは体にこたえる。これにて、準備を含めた怒濤の学会の日々が幕を閉じた。