小学生から万年筆を使うことのすすめ

以前万年筆を購入した時に、丸善のスタッフに「お客さん、力を入れすぎですよ。もっと軽く。ペンを手に乗せる程度でいいんです。」と言われた。男は大抵筆圧が強い。この筆圧のせいで指が疲れるし、字も汚くなる。そもそも諸悪の根源は鉛筆だと私は思う。あれはスケッチするときに使うもので文字を書くのには向いていない。濃く書こうとして結果的に筆圧が強くなる。筆圧が強くなるから長時間筆を持つことができず、勉強時間も短くなる。フランスでは小学生から万年筆を使うらしい。

力を入れてしまうと、ペン先が壊れてしまう。ボールペンのように扱ったら壊れしまう繊細さ

私はその昔、いちぶんのいちという問題集を親にやらされていた。この問題集はコストカットのためにわら半紙を使っていたのだが、本当に最悪だった。わら半紙の束が毎月家に送られてくるのだが、わら半紙が柔らかいので問題集に書こうとすると鉛筆の先が沈んで全く濃く書けないのだ。書こうと思っても鉛筆から伝わる触覚は最悪で、書く気も失せるものだった。未だに小学生にボールペンを使わせない理由がわからない。えんぴつを使うと勉強が全く捗らないことは確かである。

お子さんが勉強しないと嘆いている親御さんがいたら試してほしいことがある。まず第一に勉強机の高さだ。高さが体に合っていないと姿勢が悪くなるばかりか、体に負荷がかかっているので、そもそも勉強には集中できない。その次に、正しい鉛筆の持ち方を教えることだ。もし、文字が濃く書けなくてお子さんがイラついているようなら、試しに万年筆を使ってみるのもいいかもしれない。

Pilotのkakunoという万年筆。軽すぎて物足りなさを感じてしまうが、子供にはぴったりだと思う。

というのは、ボールペン、とりわけジェットストリームのような最近のボールペンはなめらか過ぎてペン先がすべってしまうのだ。万年筆はボールペンよりも文字を書いた時に引っかかりを感じる。また、ペン自体が重たいので、手に乗せて動かせばいいだけだなので手も疲れない。ちなみに、最近は万年筆といっても1000円弱で手に入るものもある。やはり日本のメーカーが作る万年筆の方が横に滑るときに滑らかだ。というか数万もするパーカーの万年筆より、1000円ちょっとのこっちの方がとても書きやすい。ただ、少し軽すぎてしまう。万年筆の独特の重さは一度手に持ってしまうとやみつきになってしまうものがある。

海外のメーカーと日本のメーカーでは書いた感じが異なる。日本語は横方向へ書くことが多いが、アルファベットなどは基本的に縦方向にしか動かない。日本のメーカーは横方向にも滑らかに書ける。

知っておかなければならないことは、道具を変えた瞬間に字は上手くならないということだ。万年筆を渡した瞬間に達筆となり、書道家のような逸材になるわけではない。人間は誰しもがそのようなことを信じてしまう。だが、そのようなことはない。万年筆を手にし、少しの間練習を繰り返すことで、字を楽にそして綺麗に書くことができるようになる。字が綺麗であればそれだけで常識と教養がある人間に見える。食事のマナーが良ければ、それだけで育ちが良いと思われるように。そういったことを教えるのも教育の一つであると私は思う。